ミュージカル「未来への贈り物2015」を終えて
みなさんこんにちは。ここ数日だいぶ暖かくなりましたね。
4月は出会いの季節。入学式や始業式、クラス替えなど慌ただしくも新鮮な気持ちで日々お過ごしのことと思います。
よい新年度にしたいですね。
さて今回は、4月3・4・5日に本番を迎えたミュージカル「未来への贈り物2015」の本番の様子と振り返りを一部写真を交えてしたいと思います。
まずはジュニアキャスト、チームサンライズの出演者の皆さま本当にお疲れ様でした。
約3か月半の間、一生懸命稽古をしてきましたね。そしてご出演おめでとうございます!
そして誰よりも、保護者の皆様!オーディションからの約4カ月間、様々なご予定の調整、体調管理、お弁当の準備、送迎のお手間など、出演者を全身全霊でサポートいただきました。皆様のおかげで感動の千秋楽を無事に迎えることが出来ました。心より感謝申し上げます。
(本番後、講評の様子)
ミュージカル「未来への贈り物」は昨年3月に青少年ミュージカル芸術文化振興協会が主催して初演した作品で、今回が2回目の本公演となります。
そして今回、作品的に演出面を大幅に増強しシーンを追加、ダンスシーン、歌、セリフ、音楽に加えて、美術や衣装についても大きくグレードアップしました。
再演ではありながら、ストーリー以外はほぼ新作に近い内容、高いクオリティに引き上げて、より作品のメッセージを観客の皆様にお伝えできる内容になったと思います。
おかげさまでたくさんの観客の皆さまにお越しいただき、一部日程では2階席も埋まるという状況となりました。
ご観劇された方からは「こんなに素晴らしい作品とは思わなかった」「ラストシーンでは涙が止まらなかった」「子供ではなく大人こそ観た方がいい作品」「3日間で終えるのはもったいない」「次回は絶対に出演したい!」というお声や、中には「大手劇団の舞台より感動した」という過分なお褒めの言葉を頂戴し、本番終了後に幾度となくスタンディングオベーションをいただきました。
子ども達の情熱やエネルギーは、人に大きな感動を与えるのですね。
ミュージカル「未来への贈り物」の稽古期間中を通じて、出演者の皆さんにお伝えしてきたことは、「思ったこと(感じたこと)を素直に表現する」ことでした。
もちろん最低限の演出上の決めはありますが、台本にそう書いてあるから言う、そういう振り付けだからそう踊る、ここで歌だから歌う、のではなく、本当に心からそう思うまで想像力を高めることが大切であると伝えてきました。
そのために台本に書かれていない登場人物の内面や細かな性格、趣味趣向、この役の子から見て別の子はどういう存在かなど、稽古最初の1か月間は台本のセリフを一切喋らないという特徴的な稽古でしたね。
別のカンパニーの中には、いきなり本読みからスタート、「ここはこういう風に演じて!」、「ここではこういう表情をして」、「ここのセリフの間は、1・2・3を数えてから」、「このセリフを言ったらこっちに動いて、続けてこの振り付け」等、全て「段取り」を指示して、それが出来るまで厳しい指導をするカンパニーもあります。商業的なカンパニー程そういう考え方があるようにも思います。
正直なところ、上記のような指導をする方が指導陣は簡単ですし、時間もかかりません。
ただそのような稽古経験を繰り返してしまうと子ども達は、「指示されたことしかできない子」になってしまう危険性が高いと言えます。
ジュエリーキッズと青少年ミュージカル協会の発足以来の方針として、「その子にしかない個性や感性を養い、その子しかない魅力を「表現する力」を授けること」を第一義としています。
これは今回の作品作りでも一貫していることで、稽古期間中の講師の指導方針、細かな注意事項にまで徹底されていたと思います。
その子の心の底から湧き出てくる感情、そしてそれに基づく言動こそが一番の魅力であり、その子が最も輝く姿です。
だからこそ今回の稽古期間中、演出家から「次回までに考えてきて」という宿題が多くありました。それぞれのシーンを出演者がしっかりその世界に入り込んで、実生活と同じように考え、心を動かして表現する。
それがあって初めて、セリフの口調やスピード、間の取り方、感情の盛り上がりが現実のものとなり、そしてその感情の起伏が「歌」「ダンス」につながる。
観客の皆さんはそのような自然さがあるからこそリアリティを感じ、心が引き込まれていくのだと思います。
「未来への贈り物」の稽古場は、講師が常に声を荒げたり、子ども達に緊張感が漂う雰囲気ではなく、どちらかと言うと、和気あいあいとした「自由」な雰囲気でした。
自由であるからこそ、ジュニアキャストは素直な発想力で表現できる。でも逆に自由で決まりが無いからこそ、稽古に真剣に向き合うかは自分次第、キャスト達は自分でどのように表現をするか責任を持って決めていく必要があり、全てを指示されるよりも格段に高いレベルを要求した厳しい稽古現場であったと思います。
私自身も演出家の要求について「口調は柔らかいけどかなり厳しいことを要求しているな」と感じることが多々ありました。いわばプロの役者さんに要求するレベルです。
今回の稽古でそれを自分の課題としてしっかり向き合った子は、相当な実力が付いたと思います。
ミュージカル「未来への贈り物」のメインメッセージは「失ってしまった何かを取り戻す」そして「身近な人に思いやりと感謝の気持ちを表すことの大切さ」です。
ジュニアキャストの皆さんが稽古期間中に指導を受けた演出の横山先生や、ダンスの柴田先生、歌の阿川先生や滝口先生には皆さん感謝するのは分かりやすいのですが、舞台を創り上げるにはたくさんのスタッフの皆さんのサポートがあります。そのスタッフお一人お一人の献身的なサポートがあるからこそ、皆さんは舞台上で光り輝けるのです。この機会ですからそれぞれのスタッフの皆さんのサポートを振り返りましょう。
まずは舞台監督さんから、
舞台監督さんがいるから、出演者が安全に舞台上でお芝居が出来ます。正確なタイミングで緞帳や中割幕を開閉し、次のシーンのために大道具の準備。いざ本番となれば、演出家もプロデューサーも一切口出しはしません。全ての時間管理は舞台監督が行い、舞台監督のキュー出しで全クリエイティブスタッフが一斉にスタートを切ります。その後すべてのきっかけは舞台監督の指示で進んでいきます。照明さんや音響さんへの的確な指示出しも行う「本番舞台の最高責任者」が舞台監督さんです。経験豊富な田中新一さんと佐藤さんが担当しました。
照明さんは、舞台効果のキーマンです。シーンに合わせた明かりで役者の表現をサポートし衣装を一層際立たせて鮮やかになるように万全な照明効果を綿密にプランニングしてくれています。明るいシーンを明るく、シリアスなシーンをシリアスに見せる照明効果はミュージカルには欠かせません。もし役者の板付きがずれていても自然にピンスポットで追ってくれる、正確なタイミングで暗転や明転をしてくれています。どの角度からでも出演者が最も輝いて見えるように明かりを創ってくれています。いつもクールでスマートな小川幸一さんと、高田舞台さんが担当しました。
音響さんは、ミュージカルにとって最も重要な音楽やマイク全般をコントロールしてくれています。正確なタイミングで音楽を流してくれる、舞台上の役者の声量に合わせてマイクコントロールをしてくれる、ダンスシーン、台詞シーンで最適なバランスで音量コントロールをしてくれる、ワイヤレスマイクの付け替えをサポートし、マイクの付いた役者が変わった時にも瞬時に音量バランスを最適に修正してくれる。今回の未来への贈り物のワイヤレスマイクの波数は16波。16本のマイクボリュームを出演シーンや出演者が変わる中セリフに応じてコントロールしていくれています。音響は小川陽平さんにご担当いただきました。
そして未来への贈り物の全ての音楽を作ってくれたのが作曲家チームのnanoline(ナノライン)です。才能豊かな若手3人のメンバーで、その楽曲のすばらしさは皆さんご存知の通りで、一度聴くと誰でも耳に残るメロディです。そして何よりも3名の人間性が素晴らしく、いつも一緒に仕事がしたいと思えるメンバーです。音楽は演出家からのイメージが伝えられて以降は、ゼロから感性で生み出されるものです。本当に素晴らしいですね。
美術さんは、セットの吊り物や舞台後方の段差セットのデザイン、プラカード、細かいところではリュウとララァの腕時計型ハイパーコンピューター、レディジョーカーのペンダントなど、演出上欠かせないものを、ゼロからデザインして作ってくれました。今回大幅に肉付けされた美術プラン全てを松生さんがご担当されました。
衣装さんが、今回デザインし制作した衣装点数はなんと150着以上です。デザイナー、パタンナー、実際の制作担当が手分けをして、シーンに合わせたイメージ通りの衣装を出演者それぞれのサイズで制作し、舞台裏でもすぐに補修し、脱ぎ着しやすいように工夫をして創ってくれました。今回急遽制作衣装が増える中、献身的に衣装を担当くださった長峰さん、パタンナーの山本さん、そして大勢のアシスタントさんがお手伝いくださいました。
ヘアメイクさんは出演者の表情や役のイメージがしっかり観客に伝わるように役柄ごとにメイクを工夫し、時にアレルギーや体質に合わせてメイク方法にも工夫を凝らし、メイクが崩れたら本番中すぐに直してくれました。田中ゆかりさん、そしてアシスタントの皆さんありがとうございました。
受付スタッフの動きは、出演していると見えずらいですが、開場2時間前から綿密なミーティングを実施し、観客の皆さんが気持ちよく客席で観ていただけるように、チケットモギリ担当、配布物の担当、お荷物預かり(クローク)担当、誘導担当、本番中の客席内担当に至るまで、常時7-8名体制で献身的にサポートをしてくれました。
チケットの出券、配布管理、残席管理の担当スタッフは、本番が始まるギリギリまで快く配券対応をしてくれました。制作全般をご担当いただいた和田さんありがとうございます。
スタッフ全員が最大限のパフォーマンスを発揮できるようにお弁当の手配から各セクションに配布をしてくれるスタッフさんがいる。情報伝達を円滑にするために、常に動き回って大きな声を出し続けてくれたスタッフさんがいる。
出演者の一瞬の輝きを漏らさず記録するためのカメラマン、ビデオカメラマンさんが公演期間中ずっとあらゆる場所にいてくれる。
その他、上げ始めたらきりがないほどのたくさんの方たちのサポートによって今回の「未来への贈り物」は無事に千秋楽を迎えることが出来ました。
これら全て、誰一人として欠けたら素晴らしい本番舞台にはなりません。総勢200名の大カンパニーです。
出演をしているジュニアキャストの皆さんは、自分たちの稽古の成果を安心して表現できることは色々な人の献身的なサポートのおかげなんだと感謝の気持ちを忘れずに持ってほしいと思います。
人への感謝の気持ち、「おかげさま」という気持ち、「いつもありがとう」という気持ち、いわば「感じる力」を持ってほしい。
そういう豊かな感受性はきっとこれからの人生においてとても大切なものであり、これからミュージカルの世界で活躍していきたいと思っている方には大きな力になるはずです。
そしてこれからも自分の感性を養い、興味を持てることを増やし、何事にもチャレンジして素敵な大人になっていってほしいと心から願っています。
最後になりますが、あらためましてミュージカル「未来への贈り物」にご出演をいただき誠にありがとうございました。サポートをいただきました保護者の皆様に心から御礼申し上げます。
そしてご観劇にお越しいただいたお客さま本当にありがとうございます。
今後この作品を継続的に上演できる作品に育てられるよう、スタッフ一同これからも精進していく所存です。
(本番前に円陣)
有り難いことに早くも再演を期待するたくさんのお声ををいただいております。
まずは今回の公演をしっかり締めた上でということになりますが、皆様から長く愛される作品にしていけるようにプロデューサーとしてこれからも努力をしていきたいと思います。
(千秋楽の講評後にジュニアキャストからスタッフに寄せ書きの贈呈がありました)
(打ち上げの様子)
ジュエリーキッズ広報室
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