「サウンド・オブ・ミュージック」本番を終えて
みなさんこんにちは。
残暑が厳しいですね。
今年の夏は、ジュエリーキッズが初めて迎える夏でした。
だからこそジュエリーキッズでしか経験できないかけがえのない「経験」と「成長」を子ども達に手にしてほしいと、「サウンド・オブ・ミュージック」ミュージカルワークショップを開催しました。
今回はこのワークショップの振り返りをしたいと思います。
この「サウンド・オブ・ミュージック」ミュージカルワークショップは、不朽の名作である映画版の同作品をモチーフに、オリジナルの脚本と演出、音楽編成で制作しました。
ワークショップだからと言って、決して場当たり的なものではなく、妥協の無い演出と指導、そして一流の大人キャスト、本格的な照明と音響で制作し、おそらくワークショップという域を大きく越えた作品になったと思います。
そして、このワークショップを全面的にサポートしてくださった、NPO法人青少年ミュージカル芸術文化振興協会さま、そしてご支援を頂いた渋谷区教育委員会と渋谷区立小学校の各校長先生方には深く感謝申し上げます。
そしてジュエリーキッズ講師の皆さんには大人キャストとして、子どもたちの為にほぼボランティアで早朝から夕方まで稽古、そして本番と献身的にご尽力頂きました。
この場を借りて深く御礼申し上げます。
照明、音響スタッフの皆さんも本当に献身的に、子ども達のこの夏の成長の場をサポートするためにとご尽力を頂きました。深く御礼申し上げます。
そしてなんと言っても夏休みの期間、全力で稽古に挑んでくれた子ども達。
きっと夏休みで友達とプールに行きたい、家族旅行に行きたい中、2~3日おきの3~7時間におよぶ稽古、毎回出る難解な宿題、体調管理、出来るまでやる妥協の無い稽古でおそらく決して楽しいことばかりではなかったと思います。
でも子ども達は一人一人、一生懸命指導にくらいついて、「出来ないことが出来るようになる」という小さな奇跡をたくさんおこして、この夏大きな成長と経験を同時に積むことが出来ましたね。
演技はただ、はっきりと滑舌よく喋ればいいというものではありません。
その状況、人間関係、演じている役柄の性格、置かれている立場を全て自分の腹に落としていないと、観客に伝わる演技は出来ません。
また、人が喋っているセリフをどのように受けるのか、は演技の肝とも言えます。
ついオーディションなどでは課題のセリフを「いかにうまくしゃべるか」に気を取られがちですが、実は審査員や演出家が観ているのは、それを「本音で喋れているか」という点と、その台本の世界に入って「人の言動にきちんと反応出来ているか」です。
つい、人のセリフはうわの空で、自分のセリフだけに目を向けている子が多く、終わった後「上手くしゃべれた!」と納得している子を多く見ますが、それでは私生活では当たり前の「心を動かす」ことがない、すごく違和感のある段取り芝居になってしまっていがちです。
また、つい同じシーンを何度も稽古していると、次に起こることが分かっているので慣れてしまう。雷に驚くシーンでは本気で驚けるようになるまで、何度も何度も稽古をしました。本気で心を動かさないと、客席の一番後ろの観客には伝わりません。
「真剣に向き合って、腹に落として、本気で心を動かしているか」。 これがないと、どんなにはっきりとした滑舌で、声を飛ばせていても見ている人にはとても違和感のある空虚な演技に見えてしまいます。 涙が出るほど真に迫って演技しているのに、なぜだか観ていて取り残され感というか、白けてしまう演技がこれにあたります。 アニー最終オーディションでもこれに陥る子は多いですね。 そして歌は、いか にその状況、歌詞を意識して観客の心にその想いを届けるかが大事です。 通常の歌のレッスンでは、演技と同じく、しっかりとした滑舌、正しい音程で声を飛ばすことに気を取られますが、ミュージカルの歌はのど自慢ではありません。 一番大切なのは、その時の心情を、メロディ、歌詞、音程、表情すべてで「観客の心に届ける」ことです。 そのシーンを、演技でもない、ダンスでもない、歌で伝えなければならない「必然性」があるのです。 「なぜここで歌うの?」こういう基本的なことも大変勉強になったのではないかと思います。 リーズルから始まるトラップファミリー7人兄妹で歌い上げる終盤の「サウンド・オブ・ミュージック」の曲。 この曲中で兄妹一人一人にどのような心理変化があり、そして最後どのような気持ちで心を一つにトラップ大佐にこの歌のメッセージを届けるのか、など本番に向けての稽古でなければ得ることが出来ない貴重な経験だったと思います。
そしてこのミュージカルワークショップでは、大人キャストの皆さんも子ども達の真剣な表情に感化され、とても良い刺激をもらえたようです。
ある大人キャストさんがこんな一言をおっしゃいました。
「つい舞台に慣れてしまうと、演技も歌も「いかに上手くやるか」に意識が行くようになってしまう。でも子ども達を見ていると、上手くやるかではなく、とにかく一生懸命、課題に向かって全身全霊、体当たりでぶつかっている。忘れかけていた大切なものを思い出させてくれる。参加させてもらって本当によかった。」
子ども達の素直さ、そして純粋さ、「今この瞬間を全力で生きる」という集中力に多くの経験を積んだ大人キャストさん達にも気付きや再発見をもたらしてくれたようです。
そしてもちろん、子ども達は大人キャストさん達からたくさんの技術や経験、本番へのコンディショニング、レベルの高め方などを学びました。
相互に良い刺激を与えあい、主催者としてはこれほど嬉しいことはありません。
そして本番前日、キャストみんなが「今日で稽古が最後なんて寂しい、ずっとこの仲間と一緒にいたい。」と感じていましたね。
この日も朝からの8時間の稽古、疲れも溜まっていたはずですが、この夏、一緒に一つの舞台を創り上げてきた絆が、キャストを本当のファミリーにしたのだと思います。
そして
本番は、夏組、海組に分かれての2回公演、2回とも立ち見が出るほどの大盛況でした。
役者にとってたくさんの観客の前で演じることが一番の幸せです。
最後のシーンでは会場から感動ですすり泣く声も。。
大人キャスト、そして子ども達の本気の演技が結実した瞬間でした。
最後のカーテンコールではとても暖かい拍手が出演者たちを包み込みました。みんなとてもいい笑顔をしていました。
終演後のアンケートにも心温まるメッセージをたくさんいただきありがとうございました。
以下に一部ご紹介します。
某ロングラン子どもミュージカル演出家の言葉
「子ども達一人一人が気持ちを動かして、それぞれが別の表情、細かいしぐさ、全員がその役の世界を生きている。そのクオリティの高さに驚きました。
この世界に長くいると、膨大な時間をかけてそこまで高めていくことに慣れてしまっているが、たった10回の稽古でこのクオリティは脱帽です。指導力の高さ、そして子ども達の集中力に感動した。」
渋谷区立小学校校長先生の言葉
「子ども達のエネルギーに感動しました。子ども達が本気になった時のパワーは計り知れない。観ている子ども達にも夢を与え、目標に向かって努力することの大切さ、失敗しても諦めない勇気を与える作品でした。このようなミュージカルワークショップはこれからもぜひ続けて欲しい。」
観劇したお母さまの言葉
「娘が初めて舞台を観て泣いているのを見て、私がそれ以上に泣いてしまいました。同世代の子ども達が頑張って表現している姿を見て、娘なりに感じるものがあったのだと思います。とても完成度が高く驚きました。ぜひ来年は娘を出演させていただきたいと思っています。よろしくお願いします」
小学5年生の女の子の言葉
「私もミュージカルを練習していますが、びっくりしました!とても上手でした。ずいぶん練習が大変だったと思います。どうやったら短時間で上手になれるのか知りたいです。すごく感動しました。ぜひまた観たいと思います。一日だけではもったいないです。」
他にもたくさんの素敵なお言葉を頂きました。
ジュエリーキッズでは、これからも参加する子ども達、そして観ている子ども達にも夢と希望を与える作品を作っていきたいと思います。
そしてこれからも子ども達一人一人の感性を養い、個性と才能を開花し、それを「表現する力」を授けることが出来るよう、一生懸命頑張ります。
次回の公演、そしてワークショップにもぜひご期待ください。
ジュエリーキッズ事務局
http://jw-kids.jp/
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