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『アニーオーディションを目標にすることの弊害』

みなさんこんにちは。
今回のブログは、子ども達がミュージカル『アニー』を目標にすることの弊害について私が感じることを書きたいと思います。

あくまで私の「一意見」です。

「アニー」は言わずと知れた子供ミュージカル界の最高峰。
多くの子ども達がそのオーディションを受け、昨年は約9000名の応募、狭き門のアニー役、そして仲間たち。
合格者28人、合格率0.3%は本当に子役界の精鋭たちばかりです。

多くの子ども達がアニーになりたい! アニーに受かりたい!と幼心に夢描きます。
その目標に向かって努力していく子ども達の情熱、意欲、レッスンへの熱の入れようは、大人でも脱帽するほどです。

そしてそれをサポートする親御さんも全身全霊でバックアップ、決して安くは無いレッスン代、送り迎えの苦労、学業との両立支援、健康管理、反抗期を迎え始める子ども達のメンタル管理、オーディションに落ちた際のメンタルケア等々。。

毎年のように3回、4回とチャレンジする子が多いのもアニーオーディションの特徴でもあります。

その魅力はなんと言っても、青山劇場から始まる全国ロングラン公演、誰もが知っているミュージカル、夢と愛に満ち溢れた原作、豪華なセットに生オケ、全面ポスターに載る喜び。テレビ局もそれを全面バックアップ。想像をしただけでも意欲が湧いてきます。

ただ私は誤解を恐れずにあえて言います。
「アニーオーディションを「目標」にしてはいけません」

もちろんアニーをその頃の「思い出」にするために頑張りたいという方は別です。

でも真剣に「子役からその先」を目指している方は、アニーは自分の将来の夢に向かう過程における一つの役、舞台にすぎません。
アニーが特別であることは確かです。でもそれがゴールではないのです。

事実、過去にアニーのオーディションに合格した才能あふれる子供たちが、今の日本のミュージカル界を席巻するような活躍をしているでしょうか。

日本で最もレベルの高い子供ミュージカルに受かり、その頃から高いレベルで完成され、さらに経験を積んでいれば、必然的に日本のミュージカルを背負うような有名舞台女優になれそうなものです。

しかし実際のところは今、表立って活躍している人は「ほとんどいない」、というのが実情です。

もちろん何人かは今も活躍していますが、それはおそらく特別な才能があった、あるいは、アニーをゴールではなく、自分の夢に向かっての通過点と明確に意識していた方だったからです。

私は家業で50年の歴史あるダンススクールをしている関係で、今までたくさんのアニー役、その友達役の子ども達に会い、お話をしてきましたが、みんな今でもアニーのことを本当に楽しく話します。当然ですよね。とっても誇っていいことだし、かけがえの無い経験ですから。

でも私が話をして感じること、それは才能あふれる元アニーたちが、
「アニーから卒業できていない」ことです。

アニーは確かに商業的にも人気の面でも子どもミュージカル界に光り輝く作品です。アニーに受かったという事は、子どもたちにとって人生最大の喜びの瞬間でしょう。

でも多くの子ども達はそこがピークとなってしまう。

それまでのアニーへの夢が大きければ大きいほど、情熱があればあるほど、その夢を実現した瞬間に大きな魔物が住んでいます。
最大の夢を失い、次に目指すべき目標を見つけられず、意欲が途切れてしまうのです。

日本のミュージカル界は、アニーの年代を超えると、次は大人の舞台俳優、女優たちと肩を並べるステージとなります。

12歳を超え、中学生、高校生になると急に活躍できる役、作品が減ってくる。アニーはその中でもまだ良い方です。

アニーはすごく盛り上がるのに、その後に子ども達が活躍できる舞台、作品を作っていない。これは日本のミュージカル界全体の課題とも言えます。

急に大人と同じテーブルに乗せられて、この時期におそらく多くの子役たちが体験すること、
それは「自分はそんなに上手くない」という経験です。

子役は、お芝居、歌、ダンス全般を広く器用にこなせることが求められます。

加齢が進んでも体の小さい子は中学生以降も息が長い傾向はありますが、体が大きくなり始めると、「子役」からは強制的に卒業となり、大人の女優、俳優さんたちと肩を並べてオーディションのテーブルに載ることになります。

それまでアニーに向かって、こういう風に演じるもの、こういう風に歌うものと、一生懸命をアニーの「型」をスクールで指導されてきた子は、

レッスン中に「自由にやっていいよ!」 「君はどうしたいの?」 と言われると、
「えっ?何?どうしたらいいの? どうしたいかなんてわからない・・」となってしまいます。

大人の演劇の世界は子役時代と比べて格段に「自由」です。
自由は簡単という意味ではありません。逆にありのままの自分を出すので逆に難しいことです。
演出家や先生から、「こうやって」と言われる方が簡単です。

子役の時期を卒業すると、その後は「個性」と「特徴」を表現する力を求められます。

もちろん、特別なレベルで歌が上手な子、お芝居が上手な子、ダンスが上手な子ももちろんその子の「特徴」として評価されます。

ただ技術は、訓練すればある程度は身に付けることが出来ますが、その子にしかない「個性」はまさに才能です。

よく才能を開花するという言葉がありますが、それは特殊技術に秀でているというよりは、その子にしかない特性を発揮することに他なりません。

それまでアニーをめざしてきた子ども達にとっては、自分の個性を出す、自分自身がその関係性、状況の中でどのように感じるのか、というお芝居の要素はほぼ初めての経験です。

そして、通る声で、音程を合わせ、高いビブラートなしで飛ばせる声を出せればよかった歌が、これからは歌詞を感じ、思い描き、それを人の心まで届けるという本当の歌唱力が必要になります。

もちろん舞台上になれば、演出家が「このシーンはこのように演じて」と指示を出し、個性を出せる部分は限られてきます。

でもだからと言って、普段の稽古から言われたことだけが出来れば良い、ではその後の成長と活躍が極端に狭まってしまいます。

「子役たちがその後に伸びない」とよく言われるのはそういう原因もあります。

また、中学生以降は多感な年ごろです。演劇以外に興味を持つ子も出てきますし、学業との両立も大変です。
よほど本気でない限り、「進むべき道は人それぞれ」というほかありません。

そして、アニーを受かった子には「元アニー」という肩書はずっとついて回ります。

元アニーは常に清廉潔白で、元アニーとして恥かしくない姿を求められ、自分の殻を破って思い切った表現が出来なくなる子が多いです。

アニーの経験をきちんと自分の血肉にしながらも、アニーが終わったらきちんとアニーから卒業をする必要があります。

血のにじむような努力とレッスン、熱意と情熱で勝ち取るアニーなのに、
「アニー後」に活躍できない現状。
これは日本のミュージカル芸術界の損失でもあります。

ですから私は、アニーを目標の一つにしながらも、もっとその先にも目標設定していただきたいのです。

自分の個性と才能をより輝かせるような表現力を磨き、そのためにお芝居、歌、ダンスのレッスンを積む、そして、その過程において自分のありのままの個性でチャレンジするのがアニー。

自分の個性と才能を表現する力を身に付けるために、その手段としてお芝居、歌、ダンスのレッスンを重ねること。

そうやって初めて、途切れることなく成長を続け、素晴らしい女優さんであったり、全く違う世界でも自分を表現できる人になっていけるのだと思います。

そして、普段のレッスンでは、慣れるまでは先生や先輩の「真似」でOKですが、ある程度慣れてきたら、渡された台本や、楽譜を見たら、それを読んでまずは自分がどう感じるか、を大切にする。

「私はこうだと思う」、「こう感じる」、どれもきっと正解でしょう。
そう感じたままで演じ、歌うようにしましょう。

くれぐれも、最初から「ここはどう演じれば(歌えば)いいのですか?」にならないように。


「アニー対策」と謳っているスクールやクラスの多くは、その子の個性ではなくアニーの「ハウツー」・「型」を教えるスクールです。

日頃から正しい指導を受けていて、最後の最後の「対策」としてなら、そういう指導は必要と思いますので是非ご受講ください。

学校でも試験前には試験勉強、試験対策をしますよね。それと一緒です。

普段からちゃんと勉強をしていれば試験勉強なんていらないはず、なんて言うのはきれいごとです。

「アニー合格者何人」と謳っているスクールは、「アニー後」の成長のサポートを出来ているでしょうか。

私は、ジュエリーキッズを、子ども達に自分の個性を正しく表現できる力を授けたいと思い、昨年11月に設立しました。

偉そうなことを言っていますが、設立4か月の生まれたばかりのスクールです。

でも設立までには想いを積み重ねて、現状を打破する想いも込めて、20年の歳月の結晶として生まれたのがこのジュエリーキッズです。

ジュエリーキッズが目指しているのは、その子の感性を養い、個性と才能を開花し、それを「表現する力」を養う事。
子役養成所を目指しているわけではなく、情操教育や、子役を卒業した後のもっと先を見ています。

その子にしかないかけがえの無い個性を大切にしながら、一流講師が少人数を正しく指導することによって、「個性を表現できる子」を育てること。

よく、「短期間でアニーに受かるように指導して!」と言われますが、そういう方には喜んで他の「アニー対策」を謳っているスクールさんをご紹介します。

きっと「tomorrow」「maybe」とウォーバックスさんとの掛け合いのセリフを徹底的に教えてくれます。
短期的にはそちらの方が効果があると思います。

ジュエリーキッズは、中長期的にその子の個性を大切にしたうえでそれを表現できるような様々な技術を指導していきます。

もちろん、ジュエリーキッズにもきっとアニーを受ける子はいます。
きっとこれから受かる子も出てくると思います。
(合格者情報→ http://jw-kids.jp/blog/2013/11/annie2014/
http://jw-kids.jp/blog/2015/12/ikedaaoi-anny/
http://jw-kids.jp/blog/2015/12/abehinako-anny2016/

でもジュエリーキッズの指導スタンスはあくまでアニーにピークを持ってくる指導ではなく、その先もっともっと成長を見据えた指導をしていきます。

一番見てほしい姿は、アニー後数年経ったときのその子の姿です。

きっとアニーの頃よりも一層輝いた姿になっていると確信しています。

これからの日本のミュージカル界の為に、ぜひアニー関係者の方にお願いしたいのは、「アニーらしい子」を選ぶのではなく、子ども達の「光る個性を見る」ことをしてほしいです。

原作がある作品や、商業演劇では、演出家の意向でもちろん
「こういう風に演じて、こういう風に歌って」と演じ分け、歌い分けられる子を選ぶ必要はあります。
でもそれをやり続けている限りは、作品的にも進歩はありません。

子どもたち一人一人の個性に目を向けて、「こういうアニーがいてもいいよね!」という視点が、アニーを一層輝く作品に昇華させ、きっと子ども達の「アニー後」を変えるものにもなると思います。

最高峰の子どもミュージカル「アニー」。
ここから日本のミュージカル界を席巻するような、日本を代表するような女優、俳優が出てくる日を心から期待しています。
ジュエリーキッズ事務局
http://jw-kids.jp

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